愛想笑い教育講座

諸事情によりブログ名変更。23歳Gカップの美女だと思って読んでください

トランクス愛好家

ウミという男がいる。
元々は僕から見て「友人の弟」という出会い方だったが、昨年度までの4年間同じ屋根の下で生活を共にした仲である。
僕の同居人である菅原と3人で毎週末日の出を拝んでいたこともある。
一見落ち着き払っているが、その実中身はただの口下手であるし、シティポップでも嗜んでそうな見た目だが、カラオケでは神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」しか歌わない。

 

さて、先日札幌に帰省した際に、見知らぬトランクスがたたんでおいてあった。
普通の男ならドギマギして家人を呼びつけて、取り調べを始めるところだが、わかっている。これはウミのパンツだ。
菅原から、ウミのお泊りを知らされることもあるし、危険な関係を疑う余地すらない二人なので、僕はトランクスを見た時に爆笑してしまった。
男子のパンツ事情は詳しく知らないが、僕の知る限り最近の男はトランクスではなくボクサーパンツをはくもんだ。
かくいう僕もトランクスはもっていない。
それがどういうわけかウミはトランクス信者であり、裸の付き合いでもある僕はウミがボクサーパンツをはいているところを見たことがない。
これでは、犯人はウミ以外ありえないのだ。

 

友人の彼女にトランクスを洗濯させるやつがあるだろうか。
いや、この気のおけない関係が僕たちの安心感を生むのだろうが、よしんばTシャツならまだしも、パンツだなんて!
そして笑いながら「ウミがパンツを洗濯機に突っ込んで帰った」と僕に報告し、洗ってあげる菅原もまたバカである。

 

ウミは来訪時にアポこそとるものの、我が家に上がり込むなり、冷えた味噌汁をおたまから一啜りし、冷蔵庫を開けてビールを取り出して机の上のお菓子をむさぼりだす。
その傍若無人ぶりは、三重の山奥のオオカミに育てられた少しばかり体のいい少年そのものだ。
一連の流れは無駄なくルーティン化され、お菓子をむさぼるまでは僅かな笑みは浮かべるものの一言も発しないのだ。
家庭が違えば、yahoo!知恵袋発言小町に書き込まれている案件である。

 

こんな最悪なニートみたいなウミにも彼女ができた。
ウミは上記のことを律義に彼女に報告し、菅原はウミの彼女から一方的な顰蹙を買っているということをウミが笑いながら話してくれた。



昨日、ウミが我が家に泊まっていった。
ちょうど帰省中だった僕は、昼12時半頃に目が覚めてリビングにトボトボと歩いて向かうと、大学に行くため朝方に帰るはずだったウミが、慌てた様子でご飯を食べていた。
シャワーを浴びたあとなのだろう、上半身裸である。
時間を守るのがへたくそなウミのいつもの光景だ。
僕が夕方仙台についたころに、菅原がヘラヘラ笑いながら電話をかけてきた。

 

「洗濯機を回そうとしたら、洗濯物の下にウミのパンツが隠してあった。」

 

罪悪感は感じているらしい。結構なことだ。