これは、先週の話だ。
ープロローグー
私は、無欲に溢れている。
いや、正確に言えば私を纏う色欲を無に帰してやる、白魔術の最中だ。
だがしかし震える右手は、独立した意思で自ずと股間をまさぐり、射精への道を切り開いてくる。
それは禁煙3日目のヘビースモーカーが、習慣に基づいて無意識にタバコを探す動作に等しい。
生きていれば、欲と戦うシチュエーションなど1度や2度ではないはず。
これは、ただのオナ禁ではない、戦いだ。
負けられない戦いが、ここにはある。
ー本編ー
僕はオナ禁3日目。
欲に溺れ、日に2回のマスかきを日課としてきた僕には苦行と言っても過言ではない。
ご褒美だ。
今まで数多の男たちがこの壁に挑み、打ち破れてきた。
おな禁3日目とはすなわちSASUKEで言うところの反り立つ壁である。
重い金玉は重力に従順であり、おな禁3日目の山田カツミは反り立つ壁を超えられない。
タイムアップで射精する。
おな禁3日目とはすなわちカイジで言うところの電流鉄骨渡り。
ざわ・・・ざわ・・・
股間はテロップが出そうなほどざわついている。
金持ちはゴールの先から我々の色欲の高まりを眺める。
しかし、この禁欲橋を渡り切った先に安穏の新世界が待ち受けているわけだ。
並大抵の人間は、この理性と色欲の狭間で圧死する。
僕も男。
あえてエロ動画を見るという負荷をかけることで、苦行の効果を最大限に発揮させる。
加圧トレーニングを想像してくれてよい。
この矛盾と葛藤。
やっぱり負けるわけにはいかない。
画面の中の鈴村あいりは、否応なしに頭の中に忍び込んでくる。
脳内で鈴村あいりと朝青龍が土俵に立ち、向かい合っている。
どう考えても鈴村の劣勢だが、朝青龍はいつもよりにこやかだ。
対して、ぺろんと舌を出して笑う鈴村。
行司の式守伊之助は鈴村のお尻をひと撫でし、軍配を構える。
"負けるなドルジ!やれ!どるじ!"
「はっけよいのこった!!!」
・・・・・
この瞬間、鈴村に軍配が上がった。
ドルジのまわしから、怒張したドルジがはみでたために反則負けとなったのだ。
この時僕は夢中で己をしごき上げ、小さく喘ぎ声をあげて果てていた。
白濁液となり、夜空に向けて打ち上げられた汚ねぇ白魔術。
日中の曇天を思わせないほど晴れ上がった空には、三日月が細く笑っていた。
画面では舌を出しながら大潮を吹く鈴村あいり。
AV女優も月の満ち欠けで潮の量が変わるんだなと思った。
うるんだ瞳は今宵の空とは相反して、今にも涙がこぼれそうだった。
僕はドルジを思って大声で泣いた。
三日目のリタイアに泣きわめく僕を、三日月が目を細めて笑って見ている。
画面ではまだ鈴村あいりがハメスして喘いでいる。
君も月が恋しかったんだね。
うるさいなと思って携帯を閉じた。
ーエピローグー
everyday賢者。always賢者。i am 賢者。
ーあとがきー
今日も今日とてオナ禁3日目。
オナキンスカイウォーカーはダークサイドに落ちない。フォースと共にあれ。
NHKの72時間でとりあげてくれねぇかな。
がんばれニッポン、がんばれ俺。
がんばれニッポン、がんばれ俺。
涅槃で待つ。