愛想笑い教育講座

諸事情によりブログ名変更。23歳Gカップの美女だと思って読んでください

拝啓お母さん

いつだったか「日本人の女は口説きやすい。」とアメリカ人の男が語っていた。
これは理屈によるところよりも、経験的に自明の理だろう。
聴くところによると六本木のディスコには外国人とエリートサラリーマンばかりが出入りし、日本人の女性を口説いているらしい。
3年前の国勢調査によると六本木全体での腰振り回数は1日平均12万回を数え、日本の平均的一都市の腰振り回数4万回を大きく上回った。(嘘)

 

日本では古くから、"奥ゆかしさ"だとか"間(ま)"や"空気"を大事にしてきた。
これは話法にも表れる特徴であり、結論から語られる英語に対して末尾に結論を持っていくのが日本語だ。
上座は一番奥だし、落語とはオチまでの30分を楽しむものだし、僕のちんちんも随分と奥ゆかしい。
しかしながら近年の時短化の波は、そういった"間"の文化から遠ざからせている。
これによりアメリカ人の直接的で情熱的な口説き文句は、いつしか日本人の「毎朝僕の味噌汁を作ってください」を上回るようになったのではないか。

 

余談ではあるが、友人の韓国人(イケメン)はポケモンGOをダシに日本の女性を落としまくっていた。
なるほど、みそ汁という文句のチョイスが悪いわけではなく、ダシがうまく聞いていないのだな。

 

ちなみに顔の話を議論されてしまうと、一縷の望みさえもお星さまになってしまうので、
ここでは日本人の口説き文句をダメ出ししつつ、アメリカ人の口説き方をシミュレーションしてみよう。

 

ーーーーーーーーー
日本人同僚のおさむとアメリカ人同僚のアレックス、私たち3人は同期入社でいつも行動を共にしていた。
おさむからの好意はずいぶん前から感じているけど、どうにも決定的な言葉を言ってくれない。
私の心はすっかり濡れている。いつでも受け入れられるのに。
対してアレックスはやや近めの距離感にドギマギさせられることはあるけれど、好意を感じたことはない。
いや、かつてはなかった、といったほうが正しいだろうか。
私は二人の男を天秤にかけている、悪い女。

 

先日、アレックスと外勤に出て昼食を食べたときに、彼はメニューを開きながらこう言ったの。

 

「menuになにが書かれているか知っているかい?僕(me)と君(u)だよ。」

 

ガタッと音を立てて心の天秤が傾くのを感じた。
こんなことおさむには絶対に言えないでしょう。
この一言で私は一瞬にしてときめいてしまったの。
続けて彼は言うの。

 

「君はオーブンから出てきたばかりかい?なんてHOTなんだ。」

 

あぁ、もうダメ。早く私を食べて、心が焦げ付きそうだわ。
あなたが私の身を焦がし始めている。
私は少し照れ臭いような言葉に弱いのかもしれない。

 

突然、店内の照明が落ちた。
同時に流れ始めるブルーノ・マーズの「marry you」という曲。
踊りだす従業員と、お客さん。
やがて運ばれてきたケーキには、「Happy Birthday」のデコレーション。
もしかして彼はバカなんじゃないだろうか。
誕生日ケーキに"結婚しよう"という選曲はミスマッチもいいところだ。
彼は嬉しそうな微笑みを浮かべ、私を見つめてサビを口ずさむ。
それに私の誕生日は先月だ。

 

対しておさむと言えばお昼ごはん中のアクションは一切なし。
会計を済ませて外に出たところ、ザーザー降りの大雨。
おさむは「ん"っ!!」と一言、カバンの中から出した折りたたみ傘を押し付けて、走って出て行ってしまった。
なんて不器用な男なんだろう。
こんな時アレックスだったら相合傘で肩を抱かれ・・・なんて感じてしまう私は、やっぱりいけない女なんだろうか。
遠くから「月がきれいですね!!」と雄たけびが聞こえてくる。
まだ昼である。

 

なんてことだ、両方ともバカだったのだ。
でも奥ゆかしいバカよりはまだ脳みそまでハッピーなバカのほうがいいかもしれない。
そんな調子で、私の心はあっちにいったり、こっちにいったり。



ある日3人で飲んだ帰り道に、一升瓶を持った道行く酔っ払いに絡まれたことがあった。
最初はたしなめていたのだけど、私へのボディタッチがエスカレートし、アレックスが激怒した。

 

「てめぇのきたねぇケツの穴に、その一升瓶ぶち込んでやろうか!」

 

これには酔っ払いもたじたじで、背を向けて通りの向こう側へ歩いて行った。
アレックスは続けざまに背中に吐き捨てる。

 

「家でママのおっぱいでものんでおねんねしてな!」

 

助けてくれてありがとう。でも私、気性が荒い人は怖くてダメなの。
平静を取り戻したアレックスは相変わらず「marry you」を口ずさんでいるし。
私が私自身をホットな女だと思わせてくれる彼はとても素敵な男だけど、いかんせん馬鹿で気性が荒い。

 

アレックスとは帰り道が逆だったから、おさむと歩く私。
玉川上水に差し掛かったころ、歩みを止めておさむは言うの。
 
「恥の多い生涯を送ってきました...」
 
この前は夏目漱石だったくせに。
全く男ってのはいつもこう。
おさむは続けた。

 

「僕にとっての山崎富栄になってくれませんか?」




拝啓お母さん しばらく独身のままになりそうです。